Görlitz II Drehgestell誕生の経緯
1925年、ようやく第一次大戦の敗戦の痛手から立ち直ったDRGではBR01に始まる標準化された蒸気機関車の設計・製造を進める一方で、豪華客車を利用した旅客列車を計画しました。Rheingold(1928)です。


この客車では、外国人富裕層の旅行需要を取り込むために豪華な内装をしつらえることとともに、高速で安定して走れる足回りが求められました。
それに応えるべく白羽の矢がたったのが今回紹介するGörliz II Drehgestellでした。
Görliz II Drehgestellは、Schlesien地方に近いGörlitzの車両メーカーWUMAG(Waggon und Maschinennfabrik AG Görlitz)が1924年に開発し、設計コンペで勝ったGörliz I Drehgestellの改良版です。
開発中のGörlitz II Drehgestell


1927年の開発中のGörlitz II Drehgestellです。軸ばねの両翼にスプリングを試用しています。それがまだ、コイルになりきってなくて、巻いた鋼板の内側を押し出したような原始的形状をしています。

✏このばね、dermatographみたいな形ですね。
こんなばねだと、重量をかけるとクニャっと縮んでしまいそうです。そのためなのか、重ね板ばねのすぐ上にストッパー金具がせり出しています。
工場でのGörlitz II Drehgestell


Görlitz IIはGörlitz Iから台車枠を強化したため台車枠下部のトラスが不要になりました。軸の板ばねの両翼に、新たに微振動吸収用コイルスプリングがつきました。枕梁の下部から上に伸びた揺れ枕リンクが左右各2セットずつの枕ばねを抱いている構造はGörlitz Iと同じですが、これら枕ばねが、単純なボルトではなく、加工に手間のかかりそうな形状の揺動振り子により台車枠から吊り下げられるようになりました。拡大して確認してみてください。


Görlitz II Drehgestellの基本構造
- 軸距はGörlitz Iと同じく極めて長く、3600mmもあります。これだけ長いと、高速で蛇行動は抑制できそうだけれど渡り線などでフランジがこすれて鳴るのではないでしょうか。
- 枕ばね、軸ばねの両方に重ね板ばねを採用します。すべての板ばねは線路と平行の向きに取り付けられています。Görlitz II Drehgestellでは軸ばねの重ね板ばねの両翼にはコイルばねが採用されました。
- 枕梁下部から揺れ枕リンクが持ち上がり、それが枕ばねを抱えています。
- 枕ばね吊りは原始的なボルトから、加工に手間のかかりそうなΩ形状の揺動振り子に代わりました。
- 台車枠は中央部I字鋼部分を幅広にすることで剛性を確保し、台車枠下部のトラスを廃止できました。
Görliz II Drehgestellの見分け方
Görliz II Drehgestellを見分けるポイントは、台車枠の上部中央付近が出っ張っていること、枕ばねが4セットあり、それがシャックルではなくΩ形状の揺動振り子により吊り下げられていること、枕梁の下部から揺れ枕リンクを立ち上げ枕ばねを抱かせるために、枕ばねの中央下部に枕梁の下部が見えていることです。
Görliz II Drehgestellが実際に使われている例



95年くらい前の食堂車をレストアして本線上で走れるようにできる、鉄道文化の懐の深さが羨ましいですね。
H0模型におけるGörlizII Drehgestell
RevarossiのGruppe26のA4ü Hechtwagen


RevarossiのHR4140の一等Hechtwagen A4üです。軸距が3600mmもあるGoerlitz II の長いDrehgestellは、模型のきついカーブを通過させる場合車端のTrittstufeに干渉するおそれがありますが、なんとか車体側Trittstufeを削ることもなく両立させています。ただ、Trittstufeの下段が高い気がします(これでDrehgestellと干渉が減るとも思えないのですが)。リベットの表現は斜めの光を当てると際立ちます。


下から見たところです。内側はBRAWAのようにブレーキのリンクなどを正確に作ることはせず、広くあけています。折れないことにこだわったのでしょうか、実際には細い下部リンクが分厚く幅が広く成形されていることがわかります。車軸発電機のベルトの形が再現されています。

撮影のために心皿を抜こうとしましたが穴が細く心皿部品のでっぱりが大きく、極めて固かったです。挿すときには挿せても抜くときには抜けなそうでした。シャーシやDrehgestellを曲げてしまうとまずいので、プラグ部分の広がりを削って抜いて撮影しています。


重ね板ばねはMärklinと似て重量がかかって伸びた感じの表現になっています。残念なのは、本来せり出してるはずの特徴的な形の揺動振り子が引っ込んで見えないことと、下部の板の厚み・幅が大きく、ぼてっとした感じになってしまっていることです。


軸ばねのコイルスプリングが枕木方向に引き伸ばされてブレーキと一体化してしまっています。
MärklinのSB4ü Rheingold Wagen


Märklin 41928-01の二等Rheingold Wagen SB4üです。軸距が3600mmもあるGörlitzの長いDrehgestellは、模型のきついカーブを通過させる場合車端のTrittstufeに干渉することが多いことと、カーブ通過時に車端のTrittstufe自体がせり出して建築限界にぶつかってしまうのを避けるため、Trittstufe自体をDrehgestellの端に下からとりつける形になっています。ただ、直線レール上に置いた場合あまり不自然に見えないように工夫されています。(Trittstufeを白くすると立体感が出て、さらにDrehgestellと独立した感じが出るので色差ししました)。さすがにカーブ通過時は動いてしまいおもちゃっぽく見えますが…。


下から見たところです。内側はMärklin標準の集電機構をとりつけるためにほぼ長方形の大きな空間が確保されており、極めてシンプルです。BRAWAのようにブレーキのリンクなどを正確に作ることはしていません。TrittstufeはH型の部品によりDrehgestellの下から差し込まれています。ブレーキシューの位置は踏面とあっていません。軸ばねの重ね板ばねの段差は表現されていますが、直角の線状になっており、Fleischmannのようなデリケートな表現はしていません。車軸発電機のベルトは省略されています。


軸ばねや枕ばねの重ね板ばねの曲がりはあまりなく、よくいえば車体の重量がかかった状態を表しています。樹脂の粒子が粗く、ざらざらした質感です。リベットの表現は省略されています。


全体的に大味に見えますが、揺動振り子のふくらみや軸箱の丸い感じの造形は良いです。一方、軸ばねのコイルスプリングは奥行方向に引き伸ばされ、かつ幅が広くなっており、ブレーキは隠れてしまっています。また枕梁の下の枠の中は埋められてしまっています。
FleischmannのPwPost4ü EpocheIIのリベット打ち荷物郵便車


Fleischmann 5636-01のPwPost4üです。3600mmもあるGoerlitzの長いDrehgestellは、模型のきついカーブを通過させる場合車端のTrittstufeに干渉することが多いため、TrittstufeをDrehgestell側につけるようなケースが多いのですが、このPwPost4üはなんとかステーの形を工夫してクリアランスを確保しTrittstufeを車体側にとりつけています。車軸発電機のベルトの形が再現されています。特に下部の板が細く造形されているのと枕梁の下を抜いているのが効果的で、真横から見るとこのように向こう側まで見えます。

これだけのスケ感を実現しながら壊れそうな危なっかしさがないところがFlieschmannの凄いところだと思います。


下から見たところです。内側はFleischmann標準の集電機構をとりつけるための形状をしており、BRAWAのようにブレーキのリンクなどを正確に作ることはあきらめています。車体側に目を向けると、車体本体にTrittstufeをとりつけることは達成できましたが、その半面、車体端部はカーブの際にせり出すため、Trittstufeが実際よりも内側に引っ込んでいるうえ、ドアに対して極端に小さいです。この部分は妻からみたときハの字に広がっているのがとても実感的なので残念なところです。下のTrittstufeの幅は樹脂の弾性があるので正確に測るのは難しいですが、約33.3mmありました。なお、台車枠のせり出した部分の幅は30.2mmあります。床下から見上げたときに、一枚一枚の軸ばねの板ばねの形状がつくりこんであります。


重ね板ばねを上からみたときの形状や、各板ばねの重なりの彫りの深さ、要所要所のリベットの立体感など申し分ありません。細かいことをいえば、揺動振り子の形状がやや単調ですが、細身でデリケートな形状がもたらすスケ感は素晴らしいです。


斜めから見ると、軸ばねのコイルスプリングが円筒形ではなく奥行方向に長く伸びており、ブレーキと一体化してしまっています。またブレーキシュー面は踏面と一致していません。ただ、客車に装着されている状態では、妻面の下をかなり気をつけて見ないと気づかないでしょう。おそらく模型では異様に大きい連結器のほうが気になると思います。全体的には、斜めから見てもあまり破綻のない、奥行き感のある造形だと思います。
Karl Gerhard Baur “Drehgestelle – Bogies” EK-Verlag(2009) ISBN: 978-3-88255-147-1
Liste der Speisewagen Bauart 1928-1934 mit Verbleib Liste erstellt von Will Berghoff (c)2005




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